いかに女性たちの安全がないがしろにされてきたか Netflix映画「アイズ・オン・ユー」あらすじ・感想・おすすめ度

2024年10月18日にNetflixで配信開始された「アイズ・オン・ユー」。

実在したシリアルキラー、ロドニー・アルカラが1970年代に犯行を重ねている最中、テレビのデート番組に出演していたという実話をもとにしたサイコスリラー。

ただ、「ゾディアック」のようにシリアルキラーが起こした事件や犯人を追う話とは違い、被害にあった女性たちの視点で物語が構成されており、フェミニズム的なテーマが作品の特徴。

主演のアナ・ケンドリックが本作の監督も務め、今よりさらに女性差別があった1970年代から現代にも共通して、女性たちがいかに不当な扱いを受けているかを丁寧に描いています。

目次

「アイズ・オン・ユー」基本情報

  • 配信:Netflix
  • 配信開始日:2024年10月18日
  • 製作:2023年/アメリカ
  • 時間:95分
  • 原題:Woman of the Hour

「アイズ・オン・ユー」あらすじ

ハリウッドでの成功を夢見る駆け出し女優のシェリル・ブラッドショー(アナ・ケンドリック)は、オーディションを受け続けるも落選する日々。

隣人で同じ俳優志望のテリー(ピート・ホームズ)にも望まない好意を押し付けられ、ハリウッドにうんざりし始めていた。

そんな折、シェリルのエージェントが人気デート番組の女性役をシェリルに持ってくる。女性を蔑視した番組の構成に閉口するシェリルだったが、エージェントからこれはチャンスだと説得され、しぶしぶ出演を了承する。

同じころ自称カメラマンのロドニー・アルカラ(ダニエル・ゾバット)は、女性たちを「写真のモデルになってほしい」と巧に誘いだし、人気のない場所で殺害するという凶行を繰り返していた。

そんなロドニーが次に狙ったのは家出少女のエイミー(オータム・ベスト)。

行く当てもなくお金もなく街をさまよっていたエイミーは、例によってモデルになってほしいと誘われ、ロドニーの車に乗る。

デート番組の撮影日を迎えたシェリル。シェリルの恋人候補として登場した3人の男性の中にロドニーの姿が。

たまたま番組の観覧に訪れていたローラ(ニコレット・ロビンソン)は、ロドニーの姿を見て動揺を隠しきれなくなり・・・

「アイズ・オン・ユー」キャスト、スタッフ

キャスト

  • シェリル・ブラッドショー役/アナ・ケンドリック(「マイレージ、マイライフ」(09)「ピッチ・パーフェクト」シリーズ(12~17))
  • ロドニー・アルカラ役/ダニエル・ゾバット(「イット・フェローズ」(14)「ドント・ブリーズ」(16))

テレビのデートゲームでシリアルキラーとマッチングしてしまうシェリルを演じるのは「ピッチ・パーフェクト」で知られるアナ・ケンドリック。

意志の強そうな凛とした佇まいのアナ・ケンドリックの雰囲気が、自分なりの方法で女性への差別的な扱いに対峙する芯の強い女性シェリル役にぴったりでした。

個人的には「トワイライト」ファンなので、ジェシカ~と懐かしくなったのと、「ジュノ」のジェイソン・ライトマン監督「マイレージ、マイライフ」の新卒社員役もとてもよかったです。

シリアルキラーのロドニーを演じたダニエル・ゾバットは「レディ・バード」にも出ていると知り、「え、どの役!?」と思っていたら、学園の女王ジェナのイケメン彼氏役ですね・・・

ロングヘア―姿で薄気味悪いロドニーを見事に演じていました。

スタッフ

  • 監督/アナ・ケンドリック
  • 脚本/イアン・マクドナルド
  • プロデュース/ロイ・リー(「ドント・ウォーリー・ダーリン」(22)「ゴジラvsコング」(21))、マリ・ユーン 、J・D・リフシッツ、ラファエル・マーグレス

本作の監督を務めたのは主演のアナ・ケンドリック。

アメリカ犯罪史に残る実在の連続殺人犯を扱いながらも、テーマは女性たちの安全がいかにないがしろにされてきたか、というフェミニズム的観点。

女性たちが不快や恐怖を感じるシチュエーションがリアルに表現されていて、女性としての監督の視点が活かされているのではと思いました。

「アイズ・オン・ユー」感想・おすすめ度は?

おすすめ度:★★★☆☆

実在のシリアルキラーが登場するものの、この作品はあくまで被害にあった女性たちの物語になっています。

その視点は新しくてなかなか良いなと思いつつ、その意図に気づくまでちょっと時間がかかってしまい、若干の肩透かしを食らったような印象も。

1970年代の話にも関わらず、登場する女性たちが受ける不当な扱いの数々を見て共感するところが多く、「ジェンダー平等、進歩してんのかなぁ?」とちょっと心配にもなった。

特に、彼氏でもない男性に勝手に髪を触られる不快な経験をしたことがある女性は、いまだに多いはず。

でも関係性のある男性が相手の場合、強く拒否するのが難しかったり、過剰反応だと言われたり、女性がセクハラや性被害にあっているにもかかわらず、女性の側に否があるかのように言われることもいまだにしばしば。

家出少女のエイミーの行動はリスキーに見えるかもしれないけれど、若いときは経験不足で間違った選択をすることは誰にでもあること。だからといって安全が脅かされていいわけがない。

番組観覧に訪れたローラのその後の場面にも、状況は違っても共感できる女性は多いと思います。

ロドニー・アルカラについて調べてみると、せっかく逮捕されても保釈されてしまい再度事件を起こすなど本当にひどい。

前半はちょっとよくわからないなぁ、と見ていたけれど、見終わったら自分の周りでも起こったいろいろなことを思い出し怒りに燃えていた作品でした・・・

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この記事を書いた人

子供のころから映画の虜。
映画好き歴は約35年。
女性が「何か観ようかな?」と思ったときにおすすめの、女性が主役の映画や女性監督作品を中心にご紹介します。

映画好きが高じて学生時代は自主映画制作をしたり、現在もシナリオを書いてコンクールに応募したり。

好きな映画は『タイタニック』『イヴの総て』『もののけ姫』『君の名前で僕を呼んで』『ノマドランド』『レディ・バード』『ペイン・アンド・グローリー』などなど。
好きな監督はホウ・シャオシェン、ペドロ・アルモドバル、ジョン・ヒューズ、ルカ・グァダニーノ、グレタ・ガーウィグ、ナンシー・マイヤーズなどなど。

カフェと純喫茶が大好きです。
関東出身、在住。

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