映画『ふたりで終わらせる/IT ENDS WITH US』は、全世界で発行部数1000万部を突破した米作家コリーン・フーヴァーのベストセラー小説を原作とした恋愛映画です。
「ゴシップ・ガール」のブレイク・ライブリーが主演と聞いて、ありがちなラブコメ映画を想像するなかれ。本作は「DV」をテーマに、ブレイク・ライブリーがプロデューサーも務めた肝いり作となっています。
DVがテーマと聞くと、気が重くなりがちだけど・・・
深刻なテーマだけど、見終えた後心が温かくなる作品にゃ
「愛する人からの暴力」という重いテーマを扱いながらも、人を愛する喜びを描いたヒューマンドラマに仕上がっています。
- 全米発行部数400万部のベストセラー恋愛小説を映画化
- 主演は『ゴシップガール』シリーズのブレイク・ライブリー
- どんなに愛していても、譲れないものがあると教えてくれる作品
『ふたりで終わらせる/IT ENDS WITH US』基本情報
『ふたりで終わらせる/IT ENDS WITH US』の基本情報は以下のようになっています。
原題 | It Ends with Us |
上映時間 | 130分 |
劇場公開日 | 2024年11月22日 |
製作年 | 2024年 |
製作国 | アメリカ |
『ふたりで終わらせる/IT ENDS WITH US』予告・あらすじ
『ふたりで終わらせる/IT ENDS WITH US』の予告、あらすじを紹介します。
あらすじ
長年の夢だった理想の花屋を開くため、ボストンにやって来たリリー(ブレイク・ライブリー)。
父の死を素直に悲しめないでいたリリーが出会ったのは、セクシーな脳外科医のライル(ジャスティン・バルドーニ)。
リリーは情熱的なライルに惹かれ、二人はあっという間に恋に落ちる。
幸せな時間を過ごす二人だったが、ある一瞬の出来事をきっかけに二人の間に小さなヒビが入っていく・・・
『ふたりで終わらせる/IT ENDS WITH US』キャスト・スタッフ
『ふたりで終わらせる/IT ENDS WITH US』のキャスト、スタッフを紹介します。
キャスト
- リリー・ブルーム役/ブレイク・ライブリー(「ゴシップガール」シリーズ、『アデライン 100年の恋』(15))
- ライル・キンケイド役/ジャスティン・バルドーニ(『ジェーン・ザ・バージン』(16-19))
- アトラス・コリガン役/ブランドン・スクレナー
- アリッサ役/ジェニー・スレイト(『エブリシング・エブリウエア・オールアットワンス』(22))
- マーシャル役/ハサン・ミンハジ
主人公のリリーを演ずるのは、「ゴシップガール」のセリーナ役で知られ、日本でも人気の高いブレイク・ライブリーです。
『ふたりで終わらせる/IT ENDS WITH US』はブレイクにとって、ライアン・レイノルズとの第4子(!)を出産して以来の復帰作。ブレイクはリリー役に惚れこみ、今回製作総指揮も務めています。
スタッフ
- 原作/コリーン・フーヴァー
- 監督/ジャスティン・バルドーニ(『クラウズ 雲の彼方へ』(20)、『ファイブ・ヒート・アパート』(19))
- 脚本/クリスティ・ホール(『ドライブ・イン・マンハッタン』(23)※2025年2月14日日本公開予定)
コリーン・フーヴァーはアメリカのロマンス小説、ヤングアダルト小説のベストセラー作家。『IT ENDS WITH US』はアメリカで発行部数400万部を突破したフーヴァーの代表作で、今回満を持して映画化されました。
監督を務めるジャスティン・バルドーニは、今回ライル役と監督を兼任。バルドーニ監督はジェンダー平等に強い関心を持ち、2017年のTEDトーク『「男らしく」在らんとすることをやめた理由』も話題となりました。
そんなバルドーニ監督とあって、本作の映画化にあたり原作ファンを集めて脚本会議を実施したとのこと。並々ならぬ熱意で大人気小説の映画化に取り組んだことがわかります。
脚本のクリスティ・ホールはニューヨークで活動していた劇作家です。自身が執筆し脚本サイト「THE BLACK LIST」で人気となった、『ドライブイン・マンハッタン』の監督も務める新鋭。ショーン・ペン、ダコタ・ジョンソンが出演する話題作で、日本では2025年2月14日公開です。
『ふたりで終わらせる/IT ENDS WITH US』の見どころ、おすすめ度
おすすめ度:
『ふたりで終わらせる/IT ENDS WITH US』は、愛する人からの暴力をテーマに、誇れる自分であるため勇気をもって困難に立ち向かう女性の物語。
DVというヘビーなテーマを扱いながらも、人を愛することの美しさやすばらしさを描いていて、見た後に温かい気持ちになれる作品です。
パートナーとの関係性は、誰にとっても一筋縄ではいかず、簡単に割り切れないもの。多少大目に見たり、目をつぶったりすることも少なからずあります。
そんな中で主人公リリーが最後に下す決断は、誰と一緒にいようとも決して忘れてはいけない大事な軸を教えてくれます。
ここからはより詳しく『ふたりで終わらせる/IT ENDS WITH US』の見どころを紹介します。
めくるめくラブストーリーの裏側
理想のフラワーショップを開くためボストンへやって来たリリー。
父親の死に複雑な思いを抱えていたリリーが出会ったのは、脳外科医のムキムキイケメン、ライル。ライルはとにかく情熱的でセクシー。初対面からリリーをグイグイ押して「自分と一緒にいて」と迫ります。
そんなライルに惹かれながらも、なんとか距離を置こうとするリリーに共感する人は多いはず。なぜなら、ライルの押しの強さは女性をドキドキさせる反面、一歩間違えると相手の意志を無視した振る舞いにも見えてしまうからです。
この作品には、いわゆる「最低DV男」のようなキャラクターが登場しません。
映画やドラマのキャラクターは、あるわかりやすい面を強調されがちですが、人はみんないい面も悪い面も持っているもの。
パートナーへの信頼が日常の些細な出来事で揺らいだとき、簡単に簡単に割り切れたら楽ですが、そうはいかないですよね。相手のいい面も知っているからこそ、これは暴力なのか、過失・事故なのか、信じていいのか、いけないのかの判断が難しくなる。
リリーとライルの関係は、そんなリアリティを反映して描かれていて、共感する人も多いはず。
リリーとライルに幸せな時間が多い分、その後のリリーの葛藤に切なくなります。
初恋の君、アトラスが見せる本当の愛とは
ライルとの間に小さなひびが入ってしまったころ、リリーが偶然再会したのは高校時代の恋人・アトラス。
それぞれに家庭の問題を抱えていたリリーとアトラスの恋物語には、よくある高校生の甘酸っぱいラブストーリーを許されなかった過去があります。
その分二人の絆は強く、アトラスはリリーがどんな時でもそっと見守り、リリーを尊重し味方になってくれる。
アトラスは自分の体験から、どんなに愛する相手でも超えてはいけない一線があることをリリーに繰り返し伝えることでリリーを守ろうとします。
ライルの情熱的な愛とは違う、アトラスの静かでも強い愛に触れたことで、リリーは自分にとって何が大事なことなのかを気づかされます。
繰り返される「家族」のストーリー
その家庭の本当のところは、その中で過ごした人にしかわからないものですよね。
リリーの父は市長を務め、周りからは良き夫、良き父と思われていましたが、リリーが見ていたのはそんな父の別の姿。両親の結婚生活に対して複雑な思いを持っていたリリーは、いつも母親のことを子供ながらに案じていました。
子供の恋愛観や結婚観に「自分の両親がどうだったか」が大きな影響を与えることは避けて通れません。
それがいいお手本であることもあれば、反面教師になることもあります。
リリーの人生が新しいステージを迎えたとき、自らの過去と向き合って出した、作品のタイトルにもつながる決断に勇気をもらえました。
まとめ
今回は『ふたりで終わらせる/IT ENDS WITH US』についてご紹介しました。
この作品はDVの一面的ではない側面を描こうと、リリーとライルの幸せな恋愛時代と歯車が狂っていく後半を描いていて好感が持てました。
ただやはりDVが中心的なテーマにある点で前半のロマンチックなシーンも身構えてしまい、見る側の気持ちのバランスがとりにくくおすすめ度は星3に。
女性が暴力を受けたときに陥る葛藤やジレンマには共感できる点が多く、リリーの決断には「やっぱりそうだよね」と背中を押される気持ちになりました。